大人の休憩場所
いつも決まった日、時間に通い続けるお客さまがいる。
そんな方が姿を現さなくなると色々と心配になる。
月一回必ず出張で大阪からやってきていたAさんもそんなお客さまのひとり。
何年も月一回必ず来ていたのにここ半年ほど来ていなかった。
「オレが来なくなったらもうアカンようになったと思ってや。」と言っていたAさん。それでも毎月、今日は来るかな?と待ち続けていた。
そして昨日、久しぶりにやって来た。顔を見た瞬間ホッとした。なぜだろう?不思議なものである程度年配の方が久しぶりにやって来て、顔を見た瞬間にホッとするのだ。無事を確認できたからだろうか。
Aさんはいつもの調子で「どや、元気にやっとったか?すまんなぁ、なかなか来れんで」
話を聞くとどうやら不景気で名古屋の仕事が減って今まで泊まりだったのが日帰りになって来れなかったらしい。
それをわざわざ顔を出すために泊まりにしたそうだ。
「心配してるとアカン思うて。泊まりにして来たんや。まだあるか心配やったしな。」
『何とかやってます。あまり良い状況じゃないですけど。』
「どこも一緒やな。」
色々と話しながらいつものようにコチラのお任せで3杯。そして1杯ごちそうになった。
最後の一杯が気に入ったみたいだった。気に入った一杯が見つかった時は忘れないようにいつも奥さんに電話する。「今〇〇飲んでん。これ美味しいで。今度これ買って飲もうや。」
そうやって自宅で奥さんとお気に入りの焼酎で晩酌を楽しんでいる。
奥さんとの電話が終わればチェックの合図。
いつもだったらチェックをすませれば「ほなまた。」と言ってサラッと帰るのだが昨日はちょっと違った。
「なぁ、そんな来られへんからこんなこと言うのアレやけど、店守ってな。ここ来るとホッとするねん。こういう大人の休憩場所みたいな店は大事やで。どんどん減ってるからな。お互い頑張ろうや。」
こんなご時世だからどこも苦しい。リーだって例外ではない。ここ半年くらい個人の良い店が何軒も店をたたんだのを見てきた。その店を行きつけにしていたお客さまはどうしているのだろう。皆、行き場を失い路頭をさまよっているのだろうか。自分がその立場だったら途方に暮れてしまうかもしれない。何か心の拠り所を失ってしまったような感覚に陥ってしまうかもしれない。
このご時世、お客さまのなかには来たくても来れない事情があるだろう。そんな方たちがいつでも戻ってこられるように、行き場を失わないように灯りを消すわけにはいかない。
バーのカウンターはよく“止まり木”と表現される。
社会という波の中で傷つき、もがき、苦しみ、疲れたときにちょっと羽休めをする止まり木。
今日もそんな大人たちが羽休めにやって来る。そして明日も、これからも。
羽休めをする人がひとりでもいるならば、そんな方たちが行き場を失わないように灯りを灯し続けていきたい。
バーは大人の大事な休憩場所なのだから・・・
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月一回必ず出張で大阪からやってきていたAさんもそんなお客さまのひとり。
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Aさんはいつもの調子で「どや、元気にやっとったか?すまんなぁ、なかなか来れんで」
話を聞くとどうやら不景気で名古屋の仕事が減って今まで泊まりだったのが日帰りになって来れなかったらしい。
それをわざわざ顔を出すために泊まりにしたそうだ。
「心配してるとアカン思うて。泊まりにして来たんや。まだあるか心配やったしな。」
『何とかやってます。あまり良い状況じゃないですけど。』
「どこも一緒やな。」
色々と話しながらいつものようにコチラのお任せで3杯。そして1杯ごちそうになった。
最後の一杯が気に入ったみたいだった。気に入った一杯が見つかった時は忘れないようにいつも奥さんに電話する。「今〇〇飲んでん。これ美味しいで。今度これ買って飲もうや。」
そうやって自宅で奥さんとお気に入りの焼酎で晩酌を楽しんでいる。
奥さんとの電話が終わればチェックの合図。
いつもだったらチェックをすませれば「ほなまた。」と言ってサラッと帰るのだが昨日はちょっと違った。
「なぁ、そんな来られへんからこんなこと言うのアレやけど、店守ってな。ここ来るとホッとするねん。こういう大人の休憩場所みたいな店は大事やで。どんどん減ってるからな。お互い頑張ろうや。」
こんなご時世だからどこも苦しい。リーだって例外ではない。ここ半年くらい個人の良い店が何軒も店をたたんだのを見てきた。その店を行きつけにしていたお客さまはどうしているのだろう。皆、行き場を失い路頭をさまよっているのだろうか。自分がその立場だったら途方に暮れてしまうかもしれない。何か心の拠り所を失ってしまったような感覚に陥ってしまうかもしれない。
このご時世、お客さまのなかには来たくても来れない事情があるだろう。そんな方たちがいつでも戻ってこられるように、行き場を失わないように灯りを消すわけにはいかない。
バーのカウンターはよく“止まり木”と表現される。
社会という波の中で傷つき、もがき、苦しみ、疲れたときにちょっと羽休めをする止まり木。
今日もそんな大人たちが羽休めにやって来る。そして明日も、これからも。
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by shouchuubar-lis
| 2009-07-16 15:42
| 焼酎バー リーにて